2.8. ファイル記録機構

ローカルファイルシステムに対する操作には二種類あります。 まず、ローカルファイルシステムすべてに共通して 階層化されたファイルのネーミング、ロック、割り当て、 属性管理、保護といった、データの記録方法とは独立した機能です。 4.4BSD はこれらの機能を提供する単一の実装を備えています。

もう一つは記録媒体上におけるデータ構成と管理です。 ファイル内容を記録媒体上に配置するのはファイル記録機構の役割であり、 4.4BSD は 3 種類の異なるファイル配置法に対応しています。

これらのファイル記録機構の構成はまったく異なるものですが、 それを使用するプロセスからは違いを意識することはありません。

Fast Filesystem は、データをシリンダグループという単位で構成します。 ファイルシステム階層の配置から考えて同時にアクセスされやすいと考えられるファイルは、 同じシリンダグループに記録され、同時にアクセスされる可能性の低いファイルは 異なるシリンダグループに記録されます。 この記録機構では以上のように、複数のファイルが同時に書き込まれたとしても、 記録される場所はディスクのまったく違う場所になる可能性があるのです。

ログ構造化ファイルシステムは、データをログという形で構成します。 ある時点で記録されたデータはすべて一つに集められ、 同じディスクの場所に書き込まれます。 データが上書きされることは絶対にありません。 ファイルの更新は、ファイルを上書きする代わりに 新しいファイルを書き込んでそのファイルを置き換えることによって行なわれます。 ファイルシステムに空き容量がなくなり新たに空き容量が必要になった場合は ゴミ集め (garbage-collection) プロセスが実行され、 古いファイルが再利用されます。

メモリベースのファイルシステムは、 データを仮想メモリに記録するように設計されたものです。 これは /tmp のように高速アクセスが必要で、 永続的でないファイルシステムに使われます。 メモリベースファイルシステムの目標は、 仮想メモリ資源の利用量を可能な限り最小限に保つことにあります。