2.13. ネットワーク実装

4.2BSD で実装された最初のプロトコルスイートは DARPA の Transmission Control Protocol/Internet Protocol (TCP/IP) でした。 CSRG は、ソケット IPC フレームワークに組み込む最初のネットワークとして TCP/IP を選択しました。その理由は、4.1BSD ベースの実装が DARPA がスポンサーとなっていた Bolt、Beranek、Newman (BBN) におけるプロジェクトからパブリックに入手可能だったからです。 それは大きな選択でした。 このプロトコルスイートが非常に広く利用されたのは、 主に 4.2BSD でのこの実装が理由となっています。 TCP/IP の実装に対するその後の性能と能力の改善も広く採用されました。 TCP/IP の実装については、13 章で詳細に解説しています。

4.3BSD のリリースでは、メリーランド大学とコーネル大学で部分的に 開発された Xerox Network Systems (XNS) プロトコルスイートが追加されました。 このプロトコルスイートは、TCP/IP を使用して通信できない孤立したマシンと 通信するのに必要でした。

4.4BSD のリリースでは、近頃米国内外で増加している ISO プロトコルスイートが追加されました。 ISO プロトコル群のために多少異なるセマンティクスを定義したので、 これらのセマンティクスに適合させるため ソケットインタフェースにいくつかの小さな変更が必要となりました。 その変更は、 他の既存プロトコルのクライアントには分からないようになされています。 ISO プロトコル群用に 4.3BSD カーネルで提供された 2 レベルルーティングテーブルに対する大規模な追加も必要でした。 4.4BSD で大きく拡張されたルーティング機能は、 可変長アドレスと ネットワークマスクを持つ任意のレベルのルーティングが含まれています。