2.10. 端末

端末は、標準的なシステム I/O 操作はもちろんのこと、 入力文字の編集や出力のディレイの制御をするための端末固有の操作をひととおり サポートしています。 一番低いレベルにあるのは、ハードウェア端末ポートを制御する端末デバイスドライバです。 端末入力は、たとえばボーレートのような基礎的な通信特性や、 パリティ検査のようなソフトウェアで制御可能なパラメータ類に 従って扱われます。

端末デバイスドライバの上の層には、 文字処理をどの程度行なうかを定義している ラインディシプリン (line discipline; 回線端末制御) と呼ばれるものがあります。 対話的なログインをするためにポートが 用いられるときにはデフォルトのラインディシプリンが選択され、 そのラインディシプリンはカノニカルモードで動作します。 これは、入力が標準的な行指向編集機能を提供するように処理され、 入力自体を行単位の処理で表現するモードです。

スクリーンエディタや、他のコンピュータと通信をするプログラム (訳注: telnet など) は、普通非カノニカルモード (raw モードキャラクタごとのモード (character-at-a-time mode) などとも呼ばれます) で動作します。 これらのモードでは、入力はそのまますぐに読み込み側の プロセスへと渡されます。 すべての特殊文字入力の処理は無効化されていて、 削除やその他の行編集処理は行なわれず、 すべての文字はその端末から読み込もうとしているプロセスへと渡されます。

端末は、この二つの両極端のモードの中間の多くの組み合わせで 設定することが可能です。 たとえば、あるスクリーンエディタがユーザからの割り込みを非同期的に 受け入れたい場合に、シグナルを生成する文字や出力の流量制御を許可したまま、 それ以外を非カノニカルモードで動かして、これらの文字以外の文字を まったく解釈しないまま渡す、ということが可能です。

出力では、端末処理は次のような単純な整形サービスを提供しています。

これらの整形機能は、コントロールリクエストを使ってそれぞれ独立に 無効化することが可能です。