7.2. サウンドカードの設定

寄稿: Moses Moore. FreeBSD 5.X のための再構成: Marc Fonvieille.

7.2.1. システムを設定する

設定をはじめる前に、あなたが持っているカードのモデル、 そのカードが使用しているチップ、そして PCI, ISA どちらのカードなのかを確認する必要があります。 FreeBSD は PCI および ISA の両方のカードに幅広く対応しています。 使用しているカードが対応しているかどうかは、 ハードウェアノート の対応オーディオデバイスの一覧を調べてください。 このハードウェアノートには、カードに対してどのドライバを利用すればよいか についても言及されています。

サウンドデバイスを使うために、 適切なデバイスドライバを読み込まなければいけません。 これには二つの方法のどちらかでできるでしょう。 もっとも簡単な方法は kldload(8) を使ってサウンドカードのカーネルモジュールを単に読み込むことです。 次のコマンドで実現できます。

# kldload snd_emu10k1

または /boot/loader.conf ファイルにこのような適切な行を加えて実現することもできます。

snd_emu10k1_load="YES"

以上は Creative SoundBlaster® Live! サウンドカードの例です。 他に利用可能な読み込み可能なサウンドモジュールは /boot/defaults/loader.conf に記載されています。 どのドライバを利用すればいいか確かでなければ、 snd_driver モジュールを読み込んでみてください。

# kldload snd_driver

snd_driver モジュールは、 一般に使用されるカードに対応したドライバをまとめて一度に読み込む メタドライバです。このドライバを使用すれば、 速やかに正しいドライバを探し出すことができるでしょう。 /boot/loader.conf ファイルを使用して、 すべてのサウンドドライバを読み込むこともできます。

snd_driver メタドライバの読み込み後に、 どのドライバがサウンドカードに選択されたのかを知りたいのなら cat /dev/sndstat コマンドで /dev/sndstat ファイルを調べてください。

二つ目の方法は、 サウンドカードのドライバをカーネルへ静的に組み込むことです。 以下の節では、この方法でハードウェアを対応させる方法を説明します。 カーネル再構築の詳細は Chapter 8 を参照してください。

7.2.1.1. サウンドに対応したカスタムカーネルを設定する

はじめに、オーディオフレームワークドライバ sound(4) をカーネルに追加します。 カーネルコンフィグレーションファイルに以下の行を追加してください。

device sound

次に、サウンドカードに対応したドライバを追加します。 それには、どのドライバがカードに対応しているかを知る必要があります。 使用しているカードに対する正しいドライバを決定するために、 ハードウェアノート の対応オーディオデバイスの一覧を調べてください。 たとえば、Creative SoundBlaster Live! サウンドカードは snd_emu10k1(4) ドライバが対応しています。 このカードを使用するためには、カーネルコンフィグレーションファイルに 以下の行を追加してください。

device snd_emu10k1

ドライバのマニュアルページを読んで、 追加すべき構文を調べてください。 対応しているすべてのサウンドドライバに関する カーネルコンフィグレーションの具体的な構文は、 /usr/src/sys/conf/NOTES にもあります。

すべての PnP 非対応の ISA カードに当てはまるように、 PnP 非対応の ISA サウンドカードでは、 カーネルにカードが使用する資源 (IRQ, I/O ポートなど) を明示的に指定する必要があるかもしれません。 この場合は、/boot/device.hints ファイルを使用してください。 システムの起動時に、loader(8) はこのファイルを読み、設定情報をカーネルに渡します。 たとえば、PnP 非対応の古い Creative SoundBlaster 16 (ISA 接続) には snd_sb16 とともに snd_sbc(4) ドライバを使用します。 このカードを使用する場合には、カーネルコンフィグレーションファイルに 以下の行を追加すると同時に、

device snd_sbc
device snd_sb16

/boot/device.hints ファイルに以下のエントリを追加してください。

hint.sbc.0.at="isa"
hint.sbc.0.port="0x220"
hint.sbc.0.irq="5"
hint.sbc.0.drq="1"
hint.sbc.0.flags="0x15"

この例では、 I/O ポートに 0x220 を、 IRQ に 5 を使用します。

/boot/device.hints ファイルに用いるべき構文は、 sound(4) ドライバのマニュアルページ、および、 各ドライバのマニュアルページに記載されています。

初期設定は以上の通りです。 カードを使用する状況によっては、 IRQ やその他の設定を変更する必要があるかもしれません。 このカードについての詳細は、 snd_sbc(4) マニュアルページをご覧ください。

7.2.2. サウンドカードのテスト

カーネルを変更して再起動するか、必要となるモジュールを読み込むと、 システムのメッセージバッファ (dmesg(8)) にサウンドカードが認識されたことが示されます。 たとえば、次のようなメッセージが出力されます。

pcm0: <Intel ICH3 (82801CA)> port 0xdc80-0xdcbf,0xd800-0xd8ff irq 5 at device 31.5 on pci0
pcm0: [GIANT-LOCKED]
pcm0: <Cirrus Logic CS4205 AC97 Codec>

サウンドカードの状態は、/dev/sndstat ファイルを使用して確認することができます。

# cat /dev/sndstat
FreeBSD Audio Driver (newpcm)
Installed devices:
pcm0: <Intel ICH3 (82801CA)> at io 0xd800, 0xdc80 irq 5 bufsz 16384
kld snd_ich (1p/2r/0v channels duplex default)

この出力はシステムによって異なるでしょう。 pcm デバイスがなければ、 今までの手順を振り返ってみてください。 カーネルコンフィグレーションファイルをもう一度見直して、 正しいデバイスドライバを選択しているかどうか確認してください。 トラブルシューティングは Section 7.2.2.1 を参照してください。

すべてうまくいけば、サウンドカードが機能するでしょう。 CD-ROM または DVD-ROM ドライブのオーディオ出力端子がサウンドカードと適切に接続されていれば、 cdcontrol(1) を使ってドライブ内の CD を再生できます。

% cdcontrol -f /dev/acd0 play 1

audio/workman のように、よりよいインタフェースを提供する さまざまなアプリケーションがあります。 MP3 オーディオファイルを聴くために audio/mpg123 のようなアプリケーションをインストールしようと思うかもしれません。

手っ取り早くカードをテストするには、 /dev/dsp デバイスにデータを送ってみてください。 たとえば、以下のようにします。

% cat filename > /dev/dsp

ここで filename はどんなファイルでも構いません。 このコマンドラインを実行すると雑音が発生するはずです。 これにより、サウンドカードが実際に動作していることを確認できます。

サウンドカードのミキサレベルは mixer(8) コマンドで変更することができます。 詳細は mixer(8) マニュアルページをご覧ください。

7.2.2.1. よくある問題

エラー 解決方法
sb_dspwr(XX) timed out

使用する I/O ポートが適切に設定されていません。

bad irq XX

使用する IRQ が正しく設定されていません。 サウンドカードの IRQ と設定した IRQ が同じかどうか確かめてください。

xxx: gus pcm not attached, out of memory

デバイスを使用するのに 十分なメモリを確保できません。

xxx: can't open /dev/dsp!

fstat | grep dsp を使って、他のアプリケーションがデバイスを 使用しているか調べてください。 注目すべきトラブルメーカは esoundKDE のサウンド機能です。

7.2.3. 複数音源の利用

寄稿: Munish Chopra.

特定のアプリケーションとのサウンドデバイスの共用に対応していない時、 esound または artsd のように 同時に再生することのできる音源を複数実装していることは、 多くの場合望ましいことです。

FreeBSD では、 仮想サウンドチャネル を使ってこれを実現でき、sysctl(8) で設定できます。 仮想チャネルはカーネル内でサウンドを合成することにより、 サウンドカードの再生を多重化することができます。

仮想チャネルの数を決めるのに二つの sysctl 変数を設定できます。 root ユーザで以下のようにします。

# sysctl dev.pcm.0.play.vchans=4
# sysctl dev.pcm.0.rec.vchans=4
# sysctl hw.snd.maxautovchans=4

上記の例では四つの仮想チャネルを設定しています。 これは通常利用する上で十分実用的な数です。 dev.pcm.0.play.vchans=4dev.pcm.0.rec.vchans=4 は、 pcm0 が再生や録音のために持っている仮想チャネルの数で、 一度デバイスが取り付けられると設定できます。 hw.snd.maxautovchans は、 kldload(8) を用いて認識された新しいデバイスの仮想チャネル数です。 pcm モジュールはハードウェアドライバとは独立して読み込むことができるので、 後でどんなにデバイスを認識しても hw.snd.maxautovchans は仮想チャネルを格納できます。 より詳細な情報については pcm(4) のマニュアルページを参照してください。

Note: デバイスを使用しているときに 仮想チャンネルの数を変更することはできません。 まず、ミュージックプレーヤやサウンドデーモンといった デバイスを使用しているすべてのプログラムを終了してください。

devfs(5) を使用していないのなら、 利用するアプリケーションに /dev/dsp0.x を指定しなければならないでしょう。 上記の例のように dev.pcm.0.rec.vchans を 4 に設定すると x は 0 から 3 となります。 devfs(5) を使用しているシステムでは、 /dev/dsp0 を必要とするプログラムが意識しなくてもこれらが自動的に設定されます。

7.2.4. ミキサチャネルの初期値を設定する

寄稿: Josef El-Rayes.

各ミキサチャネルの初期値は pcm(4) ドライバのソースにハードコーディングされています。 起動時に記録されていた値をミキサに設定する さまざまなアプリケーションやデーモンがありますが、 あまりよい解決方法ではありません。 適切な値を /boot/device.hints ファイルに記述することにより、 ドライバレベルでミキサの初期値を設定することができます。 たとえば、以下のような行を追加します。

hint.pcm.0.vol="50"

この例では、pcm(4) が読み込まれたと同時に、 ボリュームチャネルの初期値を 50 に設定します。