前書き

想定している読者

最初の部分は FreeBSD を使い始めた人向けで、FreeBSD のインストールの 過程を手引きし、UNIX® の基礎となっている概念や慣習を丁寧に紹介します。 この部分に取り組むために必要なのは、探究心と、紹介された新たな概念を 理解する能力だけです。

その次の、ハンドブックのはるかに大きな部分では、FreeBSD システム 管理者が興味を抱くあらゆる種類の話題が分かりやすく言及されています。 一部の章は、その章の前に読んでおくべきことが推奨されており、各章の 始めの概要で述べられています。

さらなる情報源の一覧は、Appendix B をご覧ください。

第 1 版からの変更

第 2 版は、FreeBSD ドキュメンテーションプロジェクトの献身的な メンバーによる 2 年以上に渡る作業の頂点に立つものです。 この新たな版における主な変更は、次のようなものです。

この文書の構成

この文書は 3 部構成になっています。 第 1 部導入では、FreeBSD のインストールと 基本的な使い方を扱います。各章は順に読むことを想定していますが、 馴染み深い話題を扱った章は飛ばしてもよいでしょう。 第 2 部システム管理は、より上級の FreeBSD ユーザの関心をひく話題を広く扱っています。 各章の始めにはその章が何を扱っていて、 読者にどんな予備知識が期待されるかを簡潔に述べた概要がおかれています。 これは、その章に関心のない読者がそこを飛ばして興味のある章を 見つけられるようにするためです。 第 3 部は参考情報からなる付録です。

Chapter 1, はじめに

新規ユーザに FreeBSD を紹介します。ここでは、FreeBSD プロジェクトの歴史、目標と開発モデルについて述べています。

Chapter 2, インストール

インストール過程を一通りユーザに案内しています。 また、シリアルコンソール経由でのインストールのような 高度な話題もいくらか扱っています。

Chapter 3, UNIX の基礎知識

FreeBSD オペレーティングシステムの基本的なコマンドや 機能を扱っています。Linux やその他の UNIX 風のものに馴染んでいたら、 この章を飛ばしても構わないでしょう。

Chapter 4, アプリケーションのインストール

FreeBSD の革新的な “Ports Collection” および 標準的なバイナリパッケージによるサードパーティアプリケーションの インストールについて説明しています。

Chapter 5, X Window System

X Window System 全般と、特に FreeBSD 上での XFree86 の利用について述べています。 また、KDEGNOME のような 一般的なデスクトップ環境にも触れています。

Chapter 11, 設定とチューニング

システム管理者が FreeBSD システムを調整して最適な性能を 引き出すのに利用できるパラメータについて述べています。また、 FreeBSD で利用されている様な設定ファイルと そのありかも解説しています。

Chapter 12, 起動プロセス

FreeBSD の起動プロセスを解説し、このプロセスを 設定オプションで制御する方法を説明しています。

Chapter 13, ユーザと基本的なアカウン トの管理

ユーザアカウントの生成、操作について述べています。また、 ユーザーに課すことができる資源の制限や その他のアカウント管理作業について議論しています。

Chapter 8, FreeBSD カーネルのコンフィグレーション

どのような場合に新たにカーネルを構成する必要があるかを説明し、 カスタムカーネルのコンフィグレーション、構築、 インストールについて詳しく説明しています。

Chapter 14, セキュリティ

FreeBSD システムを安全に保つために役立つ Kerberos, IPsec, OpenSSH, ネットワークファイアウォールといった 利用可能な様々なツールについて説明しています。

Chapter 9, プリンタの利用

FreeBSD におけるプリンタの取り扱いを説明しています。たとえば、 バナーページ、プリンターの課金、初期設定といったことです。

Chapter 15, ストレージ

FreeBSD でストレージメディアやファイルシステムを どう扱うかを説明しています。対象は、物理ディスク、RAID アレイ、 光学およびテープメディア、メモリベースのディスク、 ネットワークファイルシステムなどです。

Chapter 16, 地域化

FreeBSD を英語以外の言語で使う方法を説明しています。 システムとアプリケーション両方のレベルの地域化を扱っています。

Chapter 6, デスクトップアプリケーション

Web ブラウザや生産性向上ツールのような 一般的なデスクトップアプリケーションをいくつか挙げ、 FreeBSD におけるインストール方法を説明しています。

Chapter 7, マルチメディア

システムを音声やビデオ再生に対応させるためにどう設定するかを 説明します。また、音声やビデオアプリケーションも例示しています。

Chapter 18, シリアル通信

FreeBSD システムに端末やモデムを、 ダイヤルインまたはダイヤルアウト用に接続する方法を説明しています。

Chapter 19, PPP と SLIP

FreeBSD で、PPP, SLIP や PPP over Ethernet を使って リモートシステムに接続する方法を説明しています。

Chapter 21, 高度なネットワーク

LAN 上の他のコンピュータとインターネット接続の共有、 ネットワークファイルシステムの利用、NIS 経由のアカウント情報の共有、 ドメインネームサーバの設定等々、 ネットワークに関する様々な話題を取り扱っています。

Chapter 20, 電子メール

電子メールサーバの構成要素をそれぞれ説明し、 最もよく使われているメールサーバソフトウェアである sendmail について、 単純な設定をとりあげています。

Chapter 17, 開発の最前線

FreeBSD-STABLE, FreeBSD-CURRENT と FreeBSD のリリースの 違いを説明します。どんなユーザにとって開発システムを追随するのが 有用かを述べ、その方法の概要をまとめています。

Chapter 10, Linux バイナリ互換機能

FreeBSD の Linux バイナリ互換機能を説明しています。また、 Oracle, SAP R/3, Mathematica® といった人気の高い Linux アプリケーションのインストールを詳しく説明しています。

Appendix A, FreeBSD の入手方法

FreeBSD を収録した CDROM や DVD の様々な入手先や、 FreeBSD をダウンロードしてインストールできるインターネット上の サイトを挙げています。

Appendix B, 参考図書

この文書は、もっと詳しい説明が欲しくなるかもしれない さまざまな題目について触れています。参考図書には、このハンドブックで 参照している、多くの素晴らしい本が挙げられています。

Appendix C, インターネット上のリソース

FreeBSD ユーザが FreeBSD について質問したり、技術的な 議論に参加できる、多くの公開された場について説明しています。

Appendix D, PGP 公開鍵

多くの FreeBSD 開発者の PGP fingerprint を載せています。

この文書で用いられている表記法

一貫して読みやすい文章を提供するために、この文書全体では以下の 表記法が用いられています。

書体による表記

イタリック体

イタリック体 のフォントは、ファイル名、URL, 強調表現、技術用語の最初の使用を表すのに使われています。

等幅

等幅フォントは、エラーメッセージ、 コマンド、環境変数、ports の名称、ホスト名、ユーザ名、 グループ名、デバイスの名称、変数、 コードの断片を表すのに使われています。

太字

太字のフォントは、 アプリケーション、コマンド、キーを表すのに使われています。

ユーザー入力

文章の他の部分と区別するため、キーは太字で 示されています。同時に押すことを意図したキーの組み合わせは、キーの間に `+' を入れて表されます。たとえば

Ctrl+Alt+Del

は、ユーザーが Ctrl, Alt それから Del キーを同時に 押すことを意図しています。

順に押すことを意図したキーは、カンマで区切って表されます。 たとえば

Ctrl+X, Ctrl+S

は、ユーザーが Ctrl キーと X キーを同時に押してから、 Ctrl キーと S キーを同時に押すことを 意図しています。

E:\> で始まる例は、MS-DOS® コマンドを表しています。特に注釈がなければ、それらのコマンドは最近の Microsoft® Windows® の “コマンドプロンプト” 環境でも 実行できます。

E:\> tools\fdimage floppies\kern.flp A:

# で始まる例は、FreeBSD 上でスーパーユーザ権限で 実行しなければならないコマンドを示しています。そのコマンドを入力するには、 root としてログインするか、 通常のアカウントでログインして、スーパーユーザ権限を取得するために su(1) を使います。

# dd if=kern.flp of=/dev/fd0

% で始まる例は、通常のユーザアカウントで実行するべき コマンドを示しています。特に断りのない限り、環境変数の設定やその 他のシェルコマンドには C シェルの文法が使われています。

% top

謝辞

あなたが手にしている文書は、 世界中の何百人もの人々の努力の賜物です。 誤字脱字の修正を送ったのか、文章を丸々投稿したのかによらず、 すべての貢献が役に立ちました。

多くの会社が、 著者らを雇用してフルタイムでこの文書に取り掛かれるようにしたり、 出版費用を出したりして、この文書を作り上げるのを援助してくれました。 特に、BSDi (その後 Wind River Systems に買収されました) は、フルタイムでこの文書の改善作業をするように FreeBSD ドキュメンテーションプロジェクトのメンバーを雇用し、それが 2000 年 3 月の最初の出版 (ISBN 1-57176-241-8) につながりました。 その後、Wind River Systems は、印刷出力の仕組みを整備し、 章を追加するために著者を何名か追加で雇用してくれました。この作業は、 2001 年 11 月の第 2 版の 出版 (ISBN 1-57176-303-1) に結実しました。